三宅健に辿り着くまでの遠まわり

2015年夏、V6というグループにどハマりした。それはあまりにも突然やってきた。7月に放送された「THE MUSIC DAY 音楽は太陽だ。」のV6メドレーが自分の周りで好評であり、ちょうど録画していたものを確認したところ、「確かに良いな」と感じたものの、そこから深入りするつもりはなかった。自分の人生設計に置いて、もうジャニーズ=卒業したものであったし、現時点で他に好きなものが多すぎるので、今思えば何年間もずっとうっかりハマってしまわないように避け続けてきた対象だった。

 

そんな中、このTHE MUSIC DAYがきっかけで、友人がV6にハマってしまったのである。そんなことは露知らず、「どうしても欲しいチケットがあるので応募に協力してほしい」という彼女の依頼に答えてその対象がV6のコンサートだと知ったときは驚いた。全く別の趣味で繋がっていた彼女が突然V6を好きになったことで、自分の中の古い記憶が色々と蘇り、久しぶりにちゃんと見たくなってしまった。実は私は、約15年前の中学生の頃まで、V6の大ファンだったのだ。そしてそのまま当時の映像や音楽を漁り、そこから現在のV6に魅了されるまでは本当にあっという間の出来事だった。ダムが決壊したかのごとく、気付いたらもう深い深い沼の底に浸かっていた。今まで無意識のうちに避けていたのは、こうなることが分かっていたからかもしれない。そして15年という時をもろともせずに私を深い沼まで落とし込んだのは、紛れもなく三宅健であると断言出来る。

 

私が最初にV6を好きになったきっかけは、従兄弟のお姉さんに勧められて見始めたドラマ「名探偵保健室のオバさん」の三宅健である。当時小学生だった私は、彼をきっかけにV6というグループを知り、そのまますぐにファンになった。中学に入ると、隣の席にたまたま同じ三宅ファンの子がいたこともあって(彼女も現在はジャニーズとは無縁の人生を送っているが、今でも1番仲の良い友人である)、ますますV6好きは加速していった。その友人といつも「学校へ行こう!」の話題で盛り上がり何度も“校長室へ「未成年の主張」の実施を懇願しにいく練習”という名のコントを繰り広げていたし*1、人生で初めて芸能人を生で見たのは中学2年生のときに行ったComing Centuryのコンサートだった。しかし移り気な子供である。中学3年生のときには、もうV6への熱は薄れていき、別のグループのメンバーのファンに変わってしまった。そして高校生、大学生になるにつれジャニーズそのものから離れ、アラサーである現在まですっかりと卒業した過去のものになっていたのである。

 

当時中学生の私がなぜV6から離れ別のグループに気持ちがいってしまったのかを今になって考えてみて、導き出した一つの答えがある。当時の自分にとって、三宅健は「かっこいい人」という認識だった。もちろん今でもかっこいいのだが、当時の自分の文章を振り返っても「健くんかっこいい!!!!!」しか書いておらず、現在の自分からめんどくさいほど溢れ出ている「かわいい」という感情を抱いている様子が一切ない。そして別のグループのファンになった途端、「かわいい」を連発しているのである。当時の私は、「かわいい」を求めて、三宅健から離れていったということになる。今じゃ有り得ない話だ。どう考えても逆走である。何故そんなことになったのかを考えると、中学1~2年生で、20歳を超えた男性に対して「かわいい」という感情に至るのは難しかったのかもしれない。また、私が1番好きだった時期の三宅健はゴローズのイーグルネックレスを身に付け肌もよく焼けていて、今にして思えば本人も1番「かっこいい」を意識していた時期なんじゃないかと思う。1番「かっこいい」と言われたかった時期。そんな理由から、私は自分と年の近いグループのメンバーに、「かわいい」を求めて気持ちが移っていってしまったのだなぁと思う。

 

そして2015年現在、V6に再び気持ちが向き始めた私をとてつもない勢いで沼の底まで連れて行ってくれたのが、36歳にして現役でスーパーミラクルかわいい100パーセントの三宅健なのである。15年も経っているのだ。当時20歳前後だった青年が、36歳になって更に進化してかわいくなっているとは一体どういうことなのだろうか。「かわいい」を求めていた当時の私がやっと辿り着いたゴール。遠回りしまくりながらやっと辿り着いたラスボス。「かわいい」を求めて彼を離れるという自分の逆走技も、すべて今への伏線だったのだろうとさえ思える。

そして何よりも魅了されたのが、彼のアイドルとしてのかっこよさである。ファンに対する熱くて温かくて素直な気持ち、アイドルとしての誇り、意志の強さ。過去から現在までの映像・文章・ラジオを追っていく中でその素晴らしさにどんどんとのめり込んでいってしまった。こんなにもファンの気持ちを理解して尊重しているアイドルがかつていただろうか。そんなの最強じゃないか。今になってもう一度三宅健という人に出会うことが出来た喜びに、ただただ感謝している。

そして今は、彼だけじゃなく全員が進化をし続けて最高の状態で20周年を迎えたV6という深い沼に、どこまででも突き進んでいくよ!という清々しい気持ちでいっぱいである。

*1:ただし本番はない