ヒメアノ~ル初日鑑賞記録②

ネタバレ注意。まだ1回しか観てないし、その感想は数日前に既に書いたのだけど、読み返すとなんかもう全然違うwどうしても毎日色んなことを考えて色んな思いに行き着くので、思い切って2回目の感想文を書いてみる。また後で読み返したら違う、と思うんでしょうけど。

 

 

 

 

前回の記事でも分かるように、私はヒメアノ~ルをチャーミングマサことMURDER for Twoでサンドイッチしている。ヒメアノ~ルでなんだか沈んでしまった気持ちも、楽しい楽しいミュージカルで心の底から癒された・・・というのはもちろん嘘ではないのだが、その翌日の月曜日の朝。通勤の電車に揺れる小一時間の間、私の頭の中を占領していたのはやはりヒメアノ~ルという映画だった。月曜日の朝は、吉田監督の徹底的に観ている側を嫌な気持ちにさせる演出や撮り方がすごすぎるということを考えていた。思い出すだけでも不快になるようなシーンが多いが、私が最も衝撃を受けたのは、街中で偶然見つけた女性を強姦するシーンの細かい演出。それ必要ある??そんな細かい設定まで作ってそんなにも嫌な気持ちにさせます・・・!!??とため息が出るほど不快なシーン。ちなみにその演出についての監督のインタビューがこちら。映画祭でイタリア人までドン引きだったそう。ほんとこの監督、恐ろしいけどすごい人だなと改めて感じたw

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月曜日の朝からこんなシーンを思い出して、なんだか重たい気持ちで会社に出社した私は、その時点で「やっぱりもう1回観るのやめようかな」という考えに至る。まぁこの前後にも、この映画について考える度に「もう1度観よう」「やっぱりやめよう」とコロコロと気持ちが変わってるんですけど。

さて火曜日の今日は、森田正一のことを改めてずっと考えていました。森田の気持ち悪さは一体何なんだろう?森田は計画性がない。例えば逮捕されるだとか、死刑になるだとか、人を殺したら自分にどんなことが降りかかるか・・・そんなことを考えている様子が全くない。そんなことに考えが及ぶよりももっと前の段階で、衝動的にあっさりと殺人を実行する。嘘だってそう。辻褄を合わせるとか、自分を守るとか、そんな考えに及ばないからこそ、平然とバレバレの嘘をつく。そういう部分に一切の人間味が感じられないのが、森田の気持ち悪さなのかもしれない。

でも森田は、気持ち悪い以上に悲しい。残虐な行為ばかりなのに、見ていると恐ろしい以上に、苦しく悲しい気持ちになる。森田は華奢で、非力だ。猟奇的殺人を繰り返す殺人犯となった今でも、その体型や身体能力はいじめられっ子だった高校生の頃と何も変わっていない。時間が止まっている。トランクスから伸びた細い足を見るだけで、「あ、この人高校生の頃のままだ・・・」と酷くやるせない気持ちになる。*1当時のいじめのシーンは、正直殺人シーンよりも見ていて辛いものがあった。クライマックスに出てくる、自慰行為を強制させられているときに岡田を見た森田のあの表情。あの人間をやめた瞬間のような表情が、1番脳裏に焼き付いて離れない。そこからラストシーンで、高校生の頃で止まっていた時間が今になって突然動き出して、まだ人間だった頃の森田が出てくるなんて、ちょっとあまりにも泣ける・・・。もっと自分たちとは別世界の、生まれたときから「猟奇的殺人者」という化け物だったらよかったのに。森田は間違いなく普通の男の子で、普通の人間だったのに、同じ人間に時間を止められて化け物のようにされたんだと痛感する。日常と狂気が交錯するストーリーだけど、その狂気を作り出したのも、間違いなく日常なんだなぁと。

 

そもそも私は主演の森田剛さんのファンなのでもちろんこの映画には元から興味がありまくるけど、それを差し置いても*2こんなに何日も引きずる映画があるだろうか。引きずりすぎてもう1回観るか観ないかこんなにも悩むことがあるだろうかwと言いつつも「いやもうそんなに毎日考えてるなら黙ってもう1回観にいけや・・・」と自分で自分に呆れてきているので、週末にもう一度観に行こうと思います。

*1:監督のトランクスっていう選択すごい・・・

*2:それでも一般の方々に比べたら差し置けてないことも自覚していますが